当院で取り扱っている眼内レンズについて
2024年10月30日
- 単焦点眼内レンズ
- 多焦点眼内レンズ
- 乱視矯正眼内レンズ
- アドオン(add on)レンズ
を取り扱っております。
単焦点レンズと多焦点レンズの違い
眼内レンズは機能の面から、単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズに大きく分かれます。
若いときの人間の目は、水晶体の厚さや形を変化させることによって、遠くから近くまでピントを合わせることができます。老眼になると、ピントを合わせる能力が衰えてきて、ピントを合わせづらくなり、最終的には一つの距離にしかピントが合わなくなります。
単焦点眼内レンズ
単焦点眼内レンズは、一つの距離にピントを合わせる眼内レンズです。ピントを合わせたい距離を予め決めておき、手術を行います。ピントを合わせた距離以外のところは、メガネでピントを調整します。
片眼だけ手術をするのか、両眼手術をするのかで、度数合わせが変わってくることがあります。片眼手術の場合は、手術をしない方の眼とのバランスが重要ですのでご相談下さい。
多焦点眼内レンズ
多焦点眼内レンズは、外から目に入ってきた光を遠方と近方に振り分けることによって、二つの距離にピントが合うようになっています。多焦点眼内レンズは、白内障手術後にあまりメガネを使いたくない方、メガネを掛けたり外したりしたくない方に向いています。
このレンズには欠点もあります。単焦点眼内レンズが一箇所に焦点を合わせているのに対して、多焦点眼内レンズは二箇所に光を振り分けますので、見え方のシャープさが少し劣ります。とくに、暗いところでくっきり感がやや落ちます。また、暗い場所でライトを見ると、光の輪やまぶしさを感じることもあります。夜間の車の運転には注意が必要です。一般に、多焦点眼内レンズの見え方に慣れるまでに、手術後、しばらく時間がかかるといわれています。
単焦点眼内レンズ | 多焦点眼内レンズ |
---|---|
ピントを合わせたい距離を決めてそこだけにピントが合う。それよりも遠くや近くはメガネでピントを調節。 | 2つ以上の距離にピントが合う。 メガネはほとんど不要。 |
細かいものを見ることが多い人。 パソコン作業など、一定の距離で見る仕事が多い人向き。 |
術後、メガネを使いたくない人。 メガネを掛けたり外したりしたくない人向き。 |

乱視矯正眼内レンズ
乱視矯正眼内レンズは、乱視を矯正する機能を持ったレンズで、トーリック眼内レンズといいます。単焦点のトーリック眼内レンズと、多焦点のトーリック眼内レンズがあります。トーリック眼内レンズで乱視を矯正することによって、手術後の裸眼視力が良くなります。
乱視矯正眼内レンズを用いた白内障手術は、通常の手術方法とほとんど同じですが、異なる点は、患者さんの乱視の軸と眼内レンズの軸が一致するように眼内レンズを挿入・固定する必要があります。
当院では、そのための手術機器として、眼軸長測定装置「IOL master(マスター)」と手術顕微鏡「Zeriss Lumera(ルメラ)」をリンクさせるための最新システム「Zeiss Callisto(カリスト) Eye」を導入しました。これらの機器のリンクにより、今までは角膜乱視を矯正するための乱視軸のマーキングは手作業で煩雑かつ精度にも問題がありましたが、カリストを導入する事により術前検査で取得した角膜乱視の情報を、術中に顕微鏡の視野内に表示させる事により、誤差の少ない乱視矯正眼内レンズ挿入手術が可能となっております。
*Zeiss Callisto Eye:手術顕微鏡(Zeiss Lumera)に取り付けられており、患者個人の乱視軸のデータが表示されます。

手術中の顕微鏡内(術野)に投影され、そのマーカー表示に沿って、レンズを挿入固定します。

*2焦点眼内レンズ—遠方(5m以遠)
・中間(50~70cm)くらいの2点
*完全に近方(手元)とが見える訳ではないので、スマートフォンや本などの手元を見るときはメガネが必要です。
*保険診療の範囲内で行います。
*2焦点眼内レンズ—遠方(5m以遠)・中間(50~70cm)くらいの2点
*完全に近方(手元)とが見える訳ではないので、スマートフォンや本などの手元を見るときはメガネが必要です。
*乱視矯正も行います。
*保険診療の範囲内で行います。
*2焦点眼内レンズ—遠方(5m以遠)・近方(40cm)の2点
*50cm〜1mほどの中間距離の見え方は、やや劣る。
*選定療養の対象となります。
*2焦点眼内レンズ—遠方(5m以遠)・近方(40cm)の2点
*50cm〜1mほどの中間距離の見え方は、やや劣る。
*乱視矯正も行います。
*選定療養の対象となります。
*3焦点眼内レンズ—遠方(5m以遠)・中間(60cm)・近方(40cm)の3点
*選定療養の対象となります。
*3焦点眼内レンズ—遠方(5m以遠)・中間(60cm)・近方(40cm)の3点
*乱視矯正も行います。
*選定療養の対象となります。
網膜像シミュレーション
2焦点と3焦点眼内レンズにおける見え方の違い

多焦点レンズの特徴
単焦点レンズと比較

多焦点眼内レンズは、約15%位のコントラスト感度の低下があることが言われています。
例えば、黒い文字が、少し薄く見えることがあります。
通常
ハロー
グレア
多焦点眼内レンズでは、夜間にハロー・グレア現象が生じます。
ハロー—光のまわりに輪がかかったように見える現象。
グレア—光がギラつき眩しく感じる現象。
これらの現象は、瞳孔が大きくなっている状態(薄暗い所、暗いところ)で生じるため、夜間の車の運転時に気になる方が時にいらっしゃいます。
多焦点眼内レンズを用いた白内障手術における選定医療について
白内障手術(水晶体再建術)に対しては、保険診療で施行し、多焦点眼内レンズと通常の保険診療で使用する単焦点眼内レンズの差額代金+多焦点眼内レンズ手術に必要な追加検査代金が追加費用ということになります。使用する多焦点眼内レンズにより値段が異なります。ご希望される患者様には、レンズの特徴も含めてきちんとご説明させていただきます。
多焦点眼内レンズを使用する白内障手術の選定療養に関するお知らせ
多焦点眼内レンズを使用する白内障手術を受ける場合、当院では選定療養の費用として、通常の診療費とは別に以下の金額をご負担いただきます。
多焦点眼内レンズの種類 | 金額 |
---|---|
アルコン アクリソフ IQ レストア+2.5D シングルピース | 150,000円 |
アルコン アクリソフ IQ レストア+2.5D トーリックシングルピース | 170,000円 |
アルコン アクリソフ IQ PanOptixシングルピース | 210,000円 |
アルコン アクリソフ IQ PanOptixトーリックシングルピース | 230,000円 |
選定療養とは、患者さんご自身が選択して受ける追加的な医療サービスで、その分の費用は全額自己負担となります。令和2年4月より、術後の眼鏡装用率の軽減を目的とした多焦点眼内レンズを使用する白内障手術は、厚生労働省が定める選定療養の対象となりました。
当院は多焦点眼内レンズの白内障手術を行う医療機関として届出をしています。多焦点眼内レンズの対象となる患者様には診察時に詳細をご説明致します。

患者の皆様には、ご理解いただきますよう宜しくお願い申し上げます。
令和3年1月7日院長
アドオン(Add on)レンズについて
Add-On(アドオン)レンズとは、すでに白内障の手術を受けられた方が、再度追加の矯正を行うために設計された眼内レンズです。以前に受けた白内障手術で残った近視・遠視・乱視のために眼鏡をかけることを余儀なくされていた方が、裸眼視力の改善を求めるために使用します。アドオンレンズは、保険適応外のため、全額自己負担となります。費用につきましては、海外から輸入するため為替により費用に変更が生じます。また、メリット・デメリットもございますので、医師にご相談ください。